竹防簾のカタクチイワシは伝統的な漁法である「竹防簾」という竹で作った扇形模様の杭によって生産されるもので、泗川の特産物となっている。他のカタクチイワシのように網で採らず、南海岸の清浄海域の速い流速を利用してカタクチイワシが竹防簾の中に入るようにするため、鱗や魚体を傷つけずに引き上げることができる。竹防簾の設置と漁場兔許の制限により少量のみ生産可能となっているが、高栄養のプランクトンが棲息する南海岸で生育するため肉質が堅く、油気が少なく、生臭さの少ない高級カタクチイワシである。
竹防簾のカタクチイワシは一定な大きさのメスイワシのみを厳選して乾かし、簾で捕まえたカタクチイワシの中で長さ7㎝のメスと銀色の艶やかなもののみを厳選する。特にヒレはもちろん、カタクチイワシの外形がたったの1ヶ所も損傷されていない自然そのままを維持しなければならない。漁民が海の真ん中に設置した簾から陸地の干場まで移す際は、カタクチイワシを傷つけないよう、少量を数回に分けて移さなければならない。カタクチイワシは、気が短いため玉網であげるとすぐ死んでしまうが、竹防簾から陸地の干場までの移動時間は約10分ほどであるため、この時間にはほぼ生きているといえる。